SysTune Proコラム ~vol.2

SysTune Proが目指したもの(1)

今回は、SysTune Proが何を目指して開発されたかについてお話したいと思います。

SysTune Proは、いくつかの米国製音響測定ソフトウェアと比較すると後発の製品ですので、単にRTAや伝達関数測定の製品を開発しても、ユーザーにとって新しい価値を提供することはできません。そこで、AFMG社がSysTune Proの開発で念頭に置いたのは、伝達関数含めあらゆる音響測定項目の精度をあげることでした。ただしそれは、計算精度をあげるという意味ではありません。
現場に存在する、音響測定の精度を劣化させ、最悪の場合には全く異なる測定結果を出力してしまう、重大な測定障害を除去すること。それこそがAFMG社が目指したSysTune Proの価値です。

さて、話は少しSysTune Proから離れますが(後でつながりますのでご安心を)、FFTベースの音響測定には、測定対象が満たしておかねばならない厳格な決まりがあることをご存知でしょうか?
それは、①時間的に変化しないこと、②入出力が線形(リニア)であること、です。
①については、例えば大きな気温変化があった場合は決まりから外れてしまいます。
②の線形とは、簡単に言うと、6dB大きな入力信号を与えたら出力信号も6dB大きくなる、という風に入出力がきちんと比例しているという意味です。スピーカーが歪むくらいの大音量で再生している場合、非線形になり伝達関数は誤った測定結果となります。

ライブPA中の伝達関数測定の際、観客の声や拍手の音・会場外からのノイズ・風・温度変化などが要因で①と②は満たされないことが多く、測定結果は極めて怪しくなります。そして、コヒーレンスの確認だけでは、測定結果を音響調整に反映させるべきかどうか判断がつきません。

そこでAFMG社は、測定データが時間変化や非線形要素で汚れているかどうかの判断を、リアルタイムで行うことを考えました。汚れている場合には、取り込んだ音声データやFFTデータを丸ごと捨てて、信頼性のあるデータのみでFFTや伝達関数の平均化計算をします。
それが、SSA™フィルターという特許取得済みの独自のフィルター機能です。
SSA™フィルターは、ライブ中に音楽信号を基準音源として伝達関数測定を行う際、風や突発的なノイズの影響を受けた音声データやFFTデータを使わないようにデータをフィルタリングし、常に意味のある測定結果のみを表示する機能です。

その他にも、同様に特許取得済み技術の”Time-Frequency-Constant(TFC™)” ウィンドウという、インパルス応答の切り出し時間を周波数によって連続可変する特殊な窓関数も搭載しています。
TFC™ウィンドウを用いることで、低域は長めのインパルス応答の切り出し、高域は短めのインパルス応答の切り出しが可能になり、広い帯域で残響や反射音を除去した伝達関数を求めることができます。
これらの機能については、後日詳しくご紹介しますので、今は何の目的の機能かということだけを覚えておいてくださいね。