APx500 Flex (以下、Flex)は、Windowsパソコンに接続したASIO対応のオーディオIFあるいはインストールしたDante Virtual Soundcardを介して測定対象(Device Under Test)にアクセスします。
ここでは、代表的な接続例とアナログ信号測定時の留意点について説明します。
※Windowsパソコンには、最新のAPx500ソフトウェアをインストールし、FlexのUSBドングルを挿してください。

◆ 接続概要

Flexと測定対象は、以下の接続ブロックダイアグラムのように、オーディオIFあるいはDante Virtual Soundcardを介して接続します。
接続ブロックダイアグラム図

◆ オーディオIFとの接続

Flexは、ASIO対応で基本的にどのようなオーディオIFとも接続可能です。以下は、RME社のFireface UC との接続例です。
※Audio Precision社では、動作検証を行ったオーディオIFについて情報を提供しています。

オリジナル資料「APx500 Flex とASIOオーディオインターフェイスの使い方」(PDF)はこちらからダウンロードできます。 RME Fireface UC を用いた接続例画像

◆ Dante 機器との接続

Dante機器の場合は、オーディオIFを介さず、Dante Virtual Soundcardを用いてイーサーネット経由で直接Danteネットワーク上のオーディオ信号を測定可能です。
Danteのどのチャンネルを測定するかは、Dante Controllerで設定します。 Dante Virtual Soundcard を用いた接続例画像

◆ オーディオIFの選択とアナログ信号測定時の留意点

ASIO対応であれば、どのようなオーディオIFも使用可能ですが、いくつかの留意点があります。特に、アナログ信号の測定時に重要ですので、必ず以下をご確認ください。
  • 使用するオーディオIFのアナログ特性の性能は、測定対象のアナログ性能よりも良くなければいけません。目安として、オーディオIFのTHD+N Ratio(全高調波歪とノイズの比、%)の特性が、測定対象よりも1桁以上良いオーディオIFを選択するようにしてください。
  • オーディオIFのアナログ入出力レベルの最大値は、理想的には測定対象の入出力レベルの最大値以上であることが求められます。しかし、多くのオーディオIFは、例えばデジタル卓の最大入出力レベルよりも低い仕様になっています。
    測定時には、オーディオIFのアナログ入出力レベルの最大値を必ず確認し、それ以内のレベルで測定を実行してください。
  • オーディオIFは一般に高電圧レベルの入力ができません。アンプ出力を測定する際には、アンプとオーディオIF間に必要な減衰量を持った減衰器を挿入してください
  • 測定開始前に、APx500ソフトウェア上でスケーリング設定を行ってください。
    スケーリングとは、APx500ソフトウェアのデジタル領域のFS(フルスケール)とアナログ入出レベルを校正することを言います。スケーリングに必要な情報は、オーディオIFの最大入力レベルおよび最大出力レベルです。
    下図はスケーリング設定の画面例ですが、Flexの出力レベルに関して、FS(デジタル領域)をオーディオIFの3.4Vrmsにスケーリングし、Flexの入力レベルに関して、オーディオIFからの1Vrmsを0.38FSにスケーリングしています。結果として、Flexからの最大出力レベルは+13dBu、Flexへの最大入力レベルは+10dBuとなります。
    なお、オーディオIF自体のゲイン設定、各種信号処理のバイパス設定については、各製品マニュアルをご確認ください。
スケーリング(アウトプット)画面画像スケーリング(インプット)画面画像